松本清張の推理小説の映画化といえば、この映画。野村芳太郎監督の「砂の器」

 松本清張推理小説は映画やテレビになっているものが多いですが、その中でも傑作として評価が高い映画といえば、こちらでしょう。

 1974年(昭和49年)製作の「砂の器」。その公開時のプログラムの表紙です。監督は野村芳太郎。脚本は橋本忍と「男はつらいよ」シリーズの山田洋次という強力コンビです。出演陣も豪華で、こんな顔ぶれです。

 何と言っても丹波哲郎森田健作、若かったあ。島田陽子山口果林も若くて美しかったあ。佐分利信みたいに貫禄のある人はいまや政治家や経営者にもいなくなりました。渥美清が出ているところは、松竹オールスターのノリです。加藤剛は、この映画の前、1970年(昭和45年)に同じく松本清張原作・野村芳太郎監督の「影の車」という秀作で主役を演じていました。

 そして、この映画の魅力のひとつは何と言ってもカメラです。主人公の子供時代、病気に対する偏見のために故郷を追われた父親と全国を放浪することになりますが、そこでスクリーンに広がる日本列島の風景は悲しくも美しく圧巻です。ですから、プログラムも見開きページで、その映像を押しています。

 撮影は、松竹を代表する名カメラマン、川又繡でした。野村芳太郎監督とは名コンビでした。

 裏表紙も親子の姿です。

 特別前売鑑賞券のデザインも、親子のこの姿です。

 映画産業が厳しかった時代の作品ですが、丹念に、ていねいに作られていました。

 日本映画の古典ですから、デジタルリマスター版のブルーレイも出ています。

砂の器 デジタルリマスター2005 [Blu-ray]

砂の器 デジタルリマスター2005 [Blu-ray]

 クライマックスで流れる「宿命」も聴かせる大曲でしたが、こちらもCDで出ています。
砂の器 サウンドトラックより ピアノと管弦楽のための組曲「宿命」

砂の器 サウンドトラックより ピアノと管弦楽のための組曲「宿命」

 原作はこちらです。文庫版・上下2巻の大作です。
砂の器〈上〉 (新潮文庫)

砂の器〈上〉 (新潮文庫)

砂の器〈下〉 (新潮文庫)

砂の器〈下〉 (新潮文庫)