シネラマの劇映画・第1号、西部劇のビッグスター競演の「西部開拓史」
昭和37年(1962年)公開の「西部開拓史」、今はなきシネラマ上映館、「テアトル東京」のプログラムの表紙です。で、タイトルの下にありますように「シネラマ劇映画・第1作」でありました。
プログラムの後半で説明がありますが、シネラマは映写機3台で上映する超大型画面映画で、最初は観光映画といいますか、風景などを撮したドキュメンタリーが中心でした。3DやIMAXなどと同じように、臨場感を重視して、見世物的なコンテンツからスタートしたわけですが、ここで、いよいよドラマとなったわけです。
そんなわけですから、ページを開きますと...
製作会社のMGMとシネラマ社の社長のご挨拶がまず出てきます。右のページで木につかまって漂っていますのは、ジェームズ・スチュワートです。
続きまして「観光映画から劇場映画へ」というご挨拶とスタッフ・キャストの紹介。
スタッフ・キャストは写真で見てもらったほうがいいでしょう。まず、キャスト...
豪華な顔ぶれです。ヘンリー・フォンダ、グレゴリー・ペック、ジェームズ・スチュワート、ジョン・ウェイン、リチャード・ウィドマーク...。数々の西部劇の名作に出てきたスターたちが勢揃いです。シネラマ劇映画第1号として力入りまくりです。右上のジョージ・ペパードなど駆け出しの雰囲気でしたが、ストーリーの中心に位置する、かなり魅力的な儲け役でした。キャロル・ベーカーは後年は退廃的で妖艶な感じになりますが、この時代は若く瑞々しく魅力的でした。カール・マルデンは脇を固める職人のような人です。
続きまして、監督...
何と3人います。しかも、アイパッチのジョン・フォードだけでもすごいのに、ヘンリー・ハサウェイも。ちなみに、この映画、5つのエピソードからになるオムニバス映画のような構成なので分担できるといえば、できる映画ではありました。
続きまして、名場面集...
左側、西部劇といえば、やはり幌馬車隊です。右下は、ジョン・ウェイン演じるシャーマン将軍とグラント将軍。南北戦争です。この将軍たち、軍事史的にみますと、勝利のためなら情け容赦なく銃後の市街地も焦土とする作戦を採用した先駆者でもありました。続いて...
幌馬車隊です。
西部劇といえば、インディアン。ネイティブ・アメリカンです。この映画、原題は「How The West Was Won」。「西部はいかに勝ち取られたか」。ポリティカル・コレクトネスの世界では、このタイトルは付けられないでしょう。この映画もインディアンを単なる「悪者」として描いているわけではありませんが、この映画の企画自体、60年代。それもベトナム戦争のトラウマを抱える前の米国の産物かもしれません。
で、続けまして、物語の舞台の説明...
地図で見るように、映画は西に進んでいきます。西部開拓史というわけです。
バッファローの暴走(スタンピード)です。牛でも馬でもなくバッファロー。既に、この映画の時点で、バッファローは貴重な野生動物でしたから、この場面は映画の売り物でした。表紙にもなっているわけです。今ではCGにでもしない限り、もう再現できないでしょうから、空前絶後の場面ともいえます。
開拓者の激流下り。西部劇の定番のひとつです。
これまた西部劇でよく出てくるテーマの鉄道の敷設。資本主義、工業化によって自然の西部は侵されていくわけです。左上の写真は、列車強盗。これまたハリウッド映画が始まって以来の定番です。
以上、各場面、絵になる西部劇の名場面集といったテーマの集め方です。とりわけ大画面で映えるものを選んだのでしょう。
さて、このプログラム、「シネラマとはどんなものか?」という技術解説もあります。
最後に、テアトル東京は、どんな感じだったかと言いますと...
右ページのテレビの広告が時代を感じさせます。この映画の公開は冒頭、書いたように昭和37年(1962年)。ということは東京オリンピック(昭和39年、1964年)の前だったんですねえ。とすると、このテレビ、カラーではないのかな。5万6000円というのも、相当な金額だったのかも。
最後に裏表紙。
バッファローです。表裏、表紙をつなげみますと...
幌馬車とバッファローの暴走となります。
オールスターキャストの西部劇ですから、当然、ブルーレイもあります。
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