昭和46年版、篠田正浩監督の「沈黙」で、フェレイラを演じたのは丹波哲郎

 マーティン・スコセッシ遠藤周作の『沈黙』をつくっているようですが、こちらは昭和46年(1971年)版です。

 監督は篠田正浩。ということで、表紙、右上の女性は当然、夫人の岩下志麻です。

 この映画は、原作者の遠藤周作篠田正浩の共同脚本でもありますので、プログラムにはふたりのご挨拶も...。

 続いて、スタッフ・キャストです。

 主人公のロドリゴを演じたのは、ディヴィド・ランプソン。無名の人で、IMDbをみますと、この後も、映画作品には恵まれなかったようで、テレビの世界で暮らしているようです*1。ちなみに、スコセッシ版の「沈黙」では、「アメージング・スパイダーマン」のアンドリュー・ガーフィールドロドリゴ役です。

 キャストを見ていて一番、驚きますのは、ロドリゴの師であり、棄教した司祭であるフェレイラを演じた俳優です。スコセッシ版では、リーアム・ニーソンですが、篠田版は何と、丹波哲郎です。おい、おい、という感じです。1970年代、既に日本は世界2位の経済大国だったと思いますが、昭和ってまだ、そういう時代だったのですねえ。どこから見ても日本人の俳優にやらせてしまうんだ。まあ、ハリウッドでも東洋人を白人が演じた時代かもしれませんが...。「ティファニーで朝食を」(1961年)で、ミッキー・ルーニーが演じた日本人なんか、ひどかった。

 さて、篠田版とスコセッシ版の配役を比べてますと、マコ岩松が演じていたキチジローは窪塚洋介戸浦六宏が演じた通詞は浅野忠信。このあたりは結構いい勝負という感じがします。一方、井上筑後守は篠田版が岡田英次で、スコセッシ版がイッセー尾形。うーん。こちらは篠田版のほうが重厚感がありそうな。イッセー尾形昭和天皇を演じられた方ではありますが...。

 続きまして、映画の場面。

 このプログラム、珍しく出演者の紹介ページがないものですから、顔写真が並んでいる「撮影余話」のページを...

 40年以上前の映画ですから、皆さん、若いです。右端が丹波哲郎さんのフェレイラ。舞台ならば、いいのでしょうが、映画では、やっぱり無理があります。

 再び、映画の場面から。

 結構、色彩が強烈です。岩下志麻さん、凛とした美人です。もう一つ、モノクロですが...。

 左の小さな写真が、踏み絵です。

 そして裏表紙。

 プログラムとしては、岩下志麻さん押しになっています。

 さて、原作である遠藤周作の「沈黙」は

沈黙 (新潮文庫)

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 そして、映画...。
沈黙 SILENCE [DVD]

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 絶版になったのか。中古品しかないようです。しかし、輸入版は... こちらは販売されているようです。

 スコセッシ版の「沈黙」のキャストは、IMDbに出ています。
Silence (2016) - IMDb
 これを見ると、2016年公開予定のようです。

 スコセッシは、宗教に関する関心が深く、こんな映画も撮っています。

 さて、こちらの「沈黙」は、どんな映画になるのでしょうか。 脚本は「エイジ・オブ・イノセンス」や「ギャング・オブ・ニューヨーク」のジェイ・コックス。スコセッシ、レトロの味わいや文学的な香りを求めるときは、この人と組むのだろうか。スコセッシ版の「沈黙」、遠藤周作に見て欲しかったなあ。何と言ったかな。