アンヌ・ヴィアゼムスキーのデビュー作、ロベール・べレッソン監督の「バルタザール　どこへ行く」

　プログラムといったらいいのか、会報というべきなのか、ATGの「アートシアター」76号の表紙です。

　絵画のようです。1966年製作、1970年（昭和45年）公開のフランス・スウェーデン合作映画、ロベール・ブレッソン監督の「バルタザールどこへ行く」です。表紙に「Au Hasard Balthazar」とあるのが原題です。アートな表紙です。そして、裸でうずくまっている女性は、この映画ののち、ゴダール夫人となるアンヌ・ヴィアゼムスキー。これは彼女のデビュー作です。

　ページを開きますと...

　表紙裏は近日ロードショーの「王女メディア」の宣伝。当時は、ピエロ・パオロ・パゾリーニの全盛期でありました。

　そして右ページが目次となりますが、ATGらしく、谷川俊太郎、飯島正、田山力也、戸川幸夫に加えまして、フランソワ・トリュフォーの「ロベール・ブレッソンと『バルタザールどこへ行く』」という寄稿があるという豪華執筆陣です。最後には、シナリオが収録されています。

　ATGのプログラムは作品分析、作家分析が中心で、文字主体のつくりなんですが、今回は個人的な趣味でアンヌ・ヴィアゼムスー中心に、スチル写真をご紹介しますと...

　今のフランス女優で言いますと、ちょっとレア・セドゥ的な雰囲気があります。ヴィアゼムスキーはその名の通り、ロシア系のようです。まだ、ゴダールの「中国女」に出演する前の時代です。

　「アートシアター」は真ん中がグラビアページでして、そこから....

　撮影風景です。白髪の男性がロベール・ブレッソン監督だと思います。

　アンヌ・ヴィアゼムスキーです。さらに...

　ほおに錆びたホチキスがあって、すみません。ホチキスでとめた冊子です。そして...

　ロベール・ブレッソンの作風もあるのでしょうが、フェルメールの絵画にでも出てくる女性のようです。

　ロベール・ブレッソンのフィルモグラフィーも紹介されています。

　個人的には「抵抗」「スリ」「ジャンヌ・ダルク裁判」、どれも好きです。「バルタザール」はウィキペディアやallcinemaでは、1964年製作になっていますが、このフィルモグラフィーによると、1965年から1966年にかけて製作となっています。IMDbでも、1966年となっています*1。

　ここで話は変わりまして、近日公開のジャン・リュック・ゴダール監督「アルファヴィル」のご紹介...

　「アルファヴィル」は1965年の製作で、ヒロインは当時、ゴダール夫人のアンナ・カリーナ。この映画の後、離婚。ゴダールは1967年にアンヌ・ヴィアゼムスキーと結婚しています。ということで、「バルタザール」が日本で公開されたときには、既にゴダール夫人だったわけです。ゴダールでさえ、フランス映画が日本で公開されるまでに、かなりタイムラグがあったのですね。アート系の映画だったからかもしれませんが...。

　さて再び、「バルタザール」に戻りまして、スタッフとキャスト...