暗殺映画の傑作、フレッド・ジンネマン監督の「ジャッカルの日」

 ほぼ半年ぶりの更新です。何事も長続きしない性格で、ちょっと飽きていましたが、再開です。

 で、再開1号はこちら...

 ご存知、フランスのド・ゴール大統領暗殺計画を描いた「ジャッカルの日」。昭和48年(1973年)製作・公開の作品で、新宿プラザ劇場のプログラムです。その後の映画にも大きな影響を与えた暗殺映画の傑作で、現実の世界でもテロリストが「ジャッカル」と呼ばれたりもしました。

 スタッフ・キャストの紹介です。

 原作は、フレドリック・フォーサイスフォーサイスはこの1作で一躍、世界的なベストセラー作家になりました。現実の世界を舞台にした虚実ないまぜのサスペンス・ストーリーは、ジャーナリスト出身であった、この人の独壇場ともいえます。監督はフレッド・ジンネマン。「地上より永久に」や「真昼の決闘」などを名匠ですが、1907年生まれですから、このとき、66歳。こんなドキュメンタリー・タッチの緊張感溢れる作品を送り出したのに、びっくりしました。この映画、最初から最後まで語り口が見事です。簡潔で無駄がありません。

 続きまして、解説ページ...

 反ド・ゴール派、OASの幹部たちがジャッカルに暗殺を依頼している場面です。

 そして、こんなページ...

 昔のプログラムは凝っています。ド・ゴール暗殺を狙うジャッカル、それを阻止せんと追うフランス当局、その活動を追った地名入りチャート図です。フランス、スイス、英国、イタリアと舞台はヨーロッパ各地をめぐります。

 続きまして、キャストです。

 ドキュメンタリー・タッチを意識したのか、演技力はあるけど、当時はそれほど名の知られていない地味な俳優さんたちを揃えていました。マーケティング志向の現代ではなかなか難しいかもしれません。でも、追われるジャッカルを演じたエドワード・フォックス、追うルベル警視を演じたミシェル・ロンズデール、ともに、この1作でブレークしました。デルフィーヌ・セリーグ、オルガ・ジョルジュ・ピコと、女優陣は魅力的でした。

 昔のプログラムらしく、こんな資料もついています。

 世界の暗殺史...。右の写真は、山の中でジャッカル特注の狙撃銃をテストしているところ。キャスト紹介にある木に釣ったスイカが炸裂弾でこなごなに砕け散るところは衝撃的でした。ド・ゴールの頭がこうなるぞ、みたいな...。

 で、スチル写真のページを見開きで...

 クライマックスの場面です。

 そして最後に裏表紙。

 現実の人物や事件を題材にした暗殺もののハシリとなった映画ですから、当然、DVDは出ています。

ジャッカルの日 [DVD]

ジャッカルの日 [DVD]

 原作はこちらです。

ジャッカルの日 (角川文庫)

ジャッカルの日 (角川文庫)

 原作も映画も面白いという数少ない映画とも言えます。

 で、この映画のほかにも「真昼の決闘」「地上より永遠に」「ジュリア」など数々の名作を送り出したフレッド・ジンネマン監督には自伝もあります。こちらも良書です。いまは絶版のようですが。

フレッド・ジンネマン自伝

フレッド・ジンネマン自伝