OK牧場の決闘の後日談を描いた異色西部劇「墓石と決闘」
保安官ワイアット・アープがアイク・クラントン一家と対決するOK牧場(正確にはOKコラル)の決闘は何度も映画化されている西部劇の定番ですが、これはその中でも異色作です。
1967年(昭和42年)公開の「墓石と決闘」。監督は、1957年にバート・ランカスター、カーク・ダグラス主演の「OK牧場の決斗」を撮ったジョン・スタージェス。で、この「墓石と決闘」、何が異色だったかというと、ワイアット・アープを主人公にした、この定番では普通、OK牧場の決闘がクライマックスで、そこでクラントン一家に勝って、メデタシメデタシなのですが、ここでは、OK牧場の決闘から映画が始まり、史実に基づいて、その後日談が展開されていきます。現実では、この決闘の際にはボスのアイク・クラントンは参加せずに生き残り、ワープは殺人罪で裁判にかけられ、無罪になるものの、兄弟は襲われ、ひとり死亡。復讐の鬼となったアープは、クラントン一家を追跡し、一人ひとり殺していきます。ドク・ホリデイは結核が悪化し、療養所に入ります。
後年のアープ映画では、この後日談も描かれるようになりましたが、法と正義の守護神のようだったヒーローが、肉親を失い、復讐の鬼と化し、犯人を捕まえて法の裁きにかけるのではなく、自らの手で殺していくというのは、1960年代後期、ベトナム戦争の深刻化と米国社会の不安定化のなかで、西部劇が変質していく先がけとといってもいい映画だったのだと思います。同じジョン・スタージェス監督でも、「OK牧場の決斗」は、演歌調の勧善懲悪劇でしたが、10年後の「墓石と決斗」は、すでに法と正義が曖昧になっていく悲劇の西部劇でした。
さて、スタッフ・キャストです。
ワイアット・アープがジェームズ・ガーナー、ドク・ホリディがジェイソン・ロバーズ、アイク・クラントンがロバート・ライアンといった渋い顔ぶれです。キャスト欄の最後に、ジョン・ボイトの名前が見えます。「真夜中のカーボーイ」でブレイクする前、端役時代の映画です。もうひとつ、このキャスト欄で注目は女優の名前が見えないことです。主要キャストに女性がいない。色気抜きの西部劇真っ向勝負です。
主演陣の紹介です。
まずジェームズ・ガーナー。ワイアット・アープは米国の男優ならば、誰でもやってみたい役のようですが、ガーナーもなかなか良かったでした。「大脱走」でも良い役をしていましたから、この時代のジョン・スタージェスのお気に入りだったのかもしれません。
そして...
ジェイソン・ロバーズ。渋いです。ドク・ホリディもいろいろな俳優がやっていますが、この映画のロバーズが最高なんじゃないかと個人的にも思っています。存在感がありました。
最後に...
ロバート・ライアン。悪役のアイク・クラントンにライアンを持ってきたところが、また単純な勧善懲悪の西部劇にはしないぞ、というスタージェスの心意気だったのでしょう。ロバート・ライアンは歳を重ねるごとに渋さを増し、1966年の「プロフェッショナル」、69年の「ワイルド・バンチ」と、この時代の西部劇になくてはならない存在でした。
で、史実に忠実な苦い内容の西武劇ではあったのですが、プログラムには日本の西部劇ファン向けのこんなページが...
やっぱり西部劇といえば、ガンブレーだろうと...。確かに、ストーリーはリアルですが、決闘場面は見せ場たっぷりでした。
裏表紙...
タイトルだけ。あまり愛想はありませんでした。
DVDのほうは、というと...
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