映画、青春、フロンティアの終焉ーーティモシー・ボトムズ、シビル・シェパード、ジェフ・ブリッジスの「ラスト・ショー」
1971年製作、1972年(昭和47年)日本公開ですから、既にテレビも含めてカラー全盛期に、モノクロで撮影された青春映画といえば、こちら...
「ラスト・ショー」のプログラムの表紙です。原題の「The Last Picture Show」のほうが映画の内容をよく表現しています。1950年代の米国の田舎町にある映画館を背景に、青春とその終わりが、映画の時代の終わり(主人公たちが愛した映画館の閉館)とともに語られていきます。西部劇映画全盛期の終焉と米国のフロンティアの終焉が重ね合わされているようにも見えました。監督は、ゴダールやトリュフォーと同じように映画評論家出身のピーター・ボグダノヴィッチで、1970年代前半に「ペーパームーン」とか、ノスタルジックな傑作を撮った人でした。ただ、将来を期待されながら、全盛期はあまり長くなかった印象があります。
表紙のイラストは、男性がティモシー・ボトムズ、女性がシビル・シェパードです。この映画、役者の揃った映画でした。プログラムで出演者を見ますと...
左ページはまだ新人時代のティモシー・ボトムズ、ジェフ・ブリッジス、シビル・シェパード。3人ともこの映画でブレークしました。ボトムズは、この映画と同じ年に「ジョニーは戦場へ行った」の主役でもあり、70年代の暗めの青春スターといった感じでした。シェパードの役は悪女でもあり、男を狂わす美少女という風でした。しかし、何よりもジェフ・ブリッジスの存在感が出色でした。一方、左ページが、ベン・ジョンソン、クロリス・リーチマン、エレン・バースティン。ジョンソンとリーチマンは、この映画の演技でアカデミー助演賞をとり、バースティンも3年後に「アリスの恋」で主演女優賞をとった人ですから、周りを演技派でがちがちに固めていました。
で、裏表紙はこちら...
既にベトナム戦争が泥沼化し、「強い米国」「正義の米国」に対する信念が揺らぎ、米国は内省の時代を迎えていましたから、青春映画といっても明るくハッピーというわけでもなく、テキサスの田舎町が舞台ということもあり(加えてモノクロ映像ですから)どこか暗く荒涼として、それでいて静謐で美しい映画でした。
米国映画の古典であり、名優の揃った映画ですから、DVDはあります。
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