ボンドガール歴代ベストの声もあるダニエラ・ビアンキの「007 ロシアより愛をこめて」

 ジェームズ・ボンドが登場する007映画シリーズの人気を決定づけたのは、この作品です。


 
 シリーズ第2作目の「ロシアより愛をこめて」。このプログラムは1972年(昭和47年)にリバイバル上映された時の表紙です。この映画、1963年に製作され、日本初公開は1964年(昭和39年)で、その際は「007危機一発」というタイトルでした。「危機一髪」ではなく「一発」で、自分勝手に漢字を使うなと良識派の人たちから非難されたそうです。第1作の「ドクター・ノオ」も公開時は「007は殺しの番号」ですから、007と言ったって、日本じゃ、読んでいる人少ないし、原題じゃあ、わかりづらいし...、というわけで、ともあれ、売りを考えて、インパクトに重点を置いたタイトルにしたのでしょう。

 「From Russia with Love」は内容にも忠実な上に、エレガントな良いタイトルですが、007ブランドが定着していない中では、ロマンティックな恋愛映画と間違えられかねませんから、配給会社としては「危機一発」と奇をてらってみたのでしょう。ただ、リバイバル上映の1972年になりますと、既にボンド映画のブランドは確率していましたから、スマートな原題に戻したのでしょう。まあ、奇をてらったものはすぐに古くなってしまうので、「危機一髪」では逆にレトロな感じになってしまいます。

 で、出演はこうした方々です。

 初代ジェームズ・ボンドといえば、ショーン・コネリー。まだ若いです。今の渋さはなく、ギトギトしています。で、ボンドガールは、ダニエラ・ビアンキでした。イスタンブールでボンドにハニートラップを仕掛けるロシア人女性役。品があってセクシーで、長い間、ボンドガールの歴代ベストといわれていました。ストーリー上、キーとなる役柄にぴったり合っていたことも、ベストである理由のひとつかもしれません(ロシア系じゃないんですが)。

 続いて、助演陣...

 豪華です。ペドロ・アルメンダリスはメキシコの名優です。ロッテ・レーニャもインパクトのあるキャラクターを演じていて、このキャラはマイク・マイヤーズの「オースティン・パワーズ」シリーズでもパロディになっています。一方、ロバート・ショウは、この殺し屋役でブレークし、主演級の俳優になりました。

 この映画では、オリエント急行が舞台のひとつになるのですが、その解説ページ。

 ウィキペディアを見ますと、イスタンブールとパリを結ぶダイレクト・オリエント急行は、1977年に廃止されてしまうのですが、この映画がリバイバル公開された時は、ロンドンーイスタンブール間を走っていたようで、時刻表が出ています。この時刻表、鉄道ファンにはたまらないかもしれません。

 で、「ものがたり」のページがいかにも007的なビジュアルなので、ついでに...

 おなじみのポーズのジェームズ・ボンドのイラストです。やはりダニエラ・ビアンキが写真で数多く登場しています。

 この映画、タイトル前のアクション・シークエンス、強烈なキャクターを持った超強力な殺し屋、秘密兵器、そして主題歌といった具合に、その後の007シリーズのスタイルを決めた映画でもあります。ドクター・ノオよりも、この映画に007の原点があるといえましょう。

 最後に裏表紙です。

 ヘリコプターに追われた、ボンドが岩陰に逃れ、そこから...という名場面です。このヘリに追われる場面は、アルフレッド・ヒッチコックの「北北西に進路を取れ」からインスパイアされたのではないか(悪く言うと、パクったのではないか)といわれたものです。映画は伝統の上に積み上げられていくもので、それほど目くじら立てる話だとは思いませんが。

 最後に、これはもう007映画の最高傑作であり、スパイ映画、アクション映画としても古典ですから、当然、ブルーレイも出ています。

 デジタルリマスター版もあります。 主題歌も良い曲だったので、サントラ盤のCDも出ています。
007/ロシアより愛をこめて オリジナル・サウンドトラック

007/ロシアより愛をこめて オリジナル・サウンドトラック

 そしてイアン・フレミングの原作はこちらです。
007/ロシアから愛をこめて (創元推理文庫)

007/ロシアから愛をこめて (創元推理文庫)

 英語に強く、原書で読みたい方は...
From Russia with Love

From Russia with Love