メキシコ五輪の記録映画「太陽のオリンピアーーメキシコ1968ーー」

 ロンドン・オリンピックも真っ盛り。オリンピックの記録映画というと、ベルリン五輪の「民族の祭典」とか、市川崑監督の「東京オリンピック」が有名だったりしますが、こちらは、たぶん、もう忘れられてしまったオリンピック映画...

 1968年のメキシコ・オリンピックの公式記録映画。日比谷にあった有楽座のチラシです。日本公開は翌1969年(昭和44年)です。平均台で演技する女性は当時、世界の女子体操界のアイドルでもあったソ連(現ロシア)のナタリア・クチンスカヤではないかと思われます。この大会では、チェコベラ・チャスラフスカ選手も超絶人気がありましたが、チャスラフスカはブロンドで、この女性はブルネットなので、クチンスカヤではないかと...。(コメントでご指摘いただきました。ゼッケン番号からペトリクさんとのことです。失礼しました。以下、写真に関係なく、クチンスカヤ話です)

ベラ・チャスラフスカ 最も美しく (文春文庫) で、オリンピック当時19歳のクチンスカヤ、その愛らしさから絶大な人気を誇っていたのですが、この大会に関して言えば、メキシコの観客は圧倒的にチャスラフスカを応援していました。その背景にあったのが、チェコ民主化運動「プラハの春」に対するソ連の弾圧です。メキシコ五輪の開催が10月ですが、その前の8月にソ連民主化政策を進めるチェコに軍事介入し、プラハの春を粉砕しました。そんなときだっただけに大会では、ソ連選手団に対する風当たりは強く、特にソ連チェコの金メダル争いとなった女子体操ではブーイングを浴びることもあり、可憐なクチンスカヤにとって、つらい五輪でありました。一方、チャスラフスカは民主化運動にも積極的に参加していましたから、それだけの応援されるだけの人物でした。

 で、チラシの裏は...

 こちらの女性アスリートがチャスラフスカです。この大会では、男子サッカーが銅メダルをとったのですが、主な内容を見ると、取り上げられていないようです。

 で、DVD化状況ですが、さすがにメキシコ五輪映画はマーナーで、出ていないようです。そのかわりに、市川崑監督の「東京オリンピック」を...

東京オリンピック [DVD]

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 ついでにオリンピック映画の古典中の古典、「民族の祭典」もDVDになっています。こちらはナチス・ドイツ国威発揚映画でもあり、その意味でも歴史的な映画になっています。スポーツや映画は、利用の仕方によっては怖いところもあります。
民族の祭典【淀川長治解説映像付き】 [DVD]

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