歌にもなったブルース・デイヴィソン、キム・ダービー主演「いちご白書」
歌の「いちご白書はもう一度」は聴いたことがあっても、映画を見た人はそれほどはいなかったのではないかと思う、この映画。その公開当時のプログラムの表紙です。
日本公開は1970年(昭和45年)。70年安保闘争など、大学が熱かった時代です。団塊世代のノスタルジー気分を見越して、最近は「語りつぎたい映画シリーズ」として、映画館でリバイバル上映もされているようです*1。
表紙の2人。男性は、ブルース・デイヴィソン。最近では、「X-メン」「X-MEN2」で反ミュータントの上院議員を演じていました(反体制だった学生が結局は良い大学をきちんと卒業して、保守派の議員先生になったような...。役柄上の話ですが)。一方、女性は、キム・ダービー。ジョン・ウェイン主演で、リメイクもされた「勇気ある追跡」(トルー・グリット)に出ていた女優さんですが、ベトナム戦争支持派だったウェインの映画からベトナム反戦運動の学園紛争映画へとコペルニクス的転回でした(というか、どっちも米国の空気を反映していて、ただ映画に出ていただけなんでしょうが)。
で、表紙を1枚開くと、スタッフ・キャストの紹介です。
キャストの3番目に出てくるバッド・コートは、ジョン・アルトマン監督の「バード・シット」(原題:Brewster McCloud)とか、ハル・アシュビー監督の「ハロルドとモード」とか、アート色の強い変わった映画で主演を張っていました。
右ページはいかにも欧米の大学っぽい風景ですが、舞台となったのは、コロンビア大学の学園紛争でした。当時は、日本でも、フランスでも、そして米国でも、世界中の大学が揺れていました。米国でさえ、学園紛争が映画になっていたわけです。学生たちが反抗の声をあげた時代。今で言うと、中東の春の雰囲気と言うんでしょうか。
そんな時代のプログラムですから、この中には、黒人問題研究家による「アメリカの学生運動」、評論家による「コロンビア大学紛争の実体」などという解説記事があります。と同時に、この映画がカンヌ映画祭審査員賞をとったこともあり、「小森のおばちゃま」こと、小森和子さんによる「『いちご白書』とカンヌ映画祭のことども」というカンヌ・レポートも収録されています。
そんなこんなで裏表紙です。
ラストの大学講堂から警官隊が学生を排除する場面です。このラストで流れるバフィー・セントメリーの「サークル・ゲーム」の良い曲でした。
70年代、学園紛争華やかなりし頃の青春映画の古典ですが、意外なことに、DVDにはなっていないようです。アマゾンで一番に引っ掛かったのは、輸入盤のVHSでした。基本的に時代とともに生きる映画で、当時でも特定の世代に受けて、広がりはそれほどなかったような気がしないではないような...。
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*1:映画『いちご白書』公式サイト => http://bit.ly/J1QMZ0