ジュリアーノ・ジェンマがモンゴメリー・ウッドだったマカロニ・ウエスタン「荒野の１ドル銀貨」

　今月のWOWOWは、マカロニ・ウエスタンの特集*1をしていますが、1960年代はマカロニ・ウエスタンの黄金期でした。その３大スターといえば、「荒野の用心棒」のクリント・イーストウッド、「続・荒野の用心棒」（ジャンゴ）のフランコ・ネロ、そしてジュリアーノ・ジェンマであります。その大ヒットしたマカロニ・ウエスタン・デビュー作がこちら...

　「荒野の１ドル銀貨」のプログラムの表紙です。1965年製作で、allcinemaによると、日本公開は1966年（昭和41年）だったようです*2。プログラムのスタッフ、キャストの紹介ページはこちら...

　どこか変です。主人公のゲイリー・オハラ役の俳優の名前は、モンゴメー・ウッド。ジュリアーノ・ジェンマの名前はありません。でも、表紙を見れば、わかるように、これはジェンマの映画。どうなっていたかというと、この頃のマカロニ・ウエスタン、米国の西部劇らしく見せるためにか、名前が全員、米国人風に変えてあるのです。音楽のジャンニ・フェリオを除くと、みんなアメリカンな名前です。まだ世界にイタリア製ウェスタンを売り込むのには自信がなかったのでしょうか。で、こんなページがあったりします。

　タイトルが「この映画とイタリア西部劇への期待」。まだ、マカロニ・ウエスタンが定着していなかったのですねえ。でも、この自信の無さは初期だけで、この映画をはじめ、世界中でマカロニ・ウエスタンがヒットし、評価が定着すると、スタッフ・キャストのクレジットでも、みんなイタリア人としてカミングアウトするようになり、ジュリアーノ・ジェンマもモンゴメー・ウッドではなく、ジュリアーノ・ジェンマを名乗るようになります。めでたし、めでたしです。

　で、この映画、アイデアが秀逸で、マカロニ・ウエスタンを代表する名作のひとつですから、DVDには当然、なっていますし、WOWOWの特集のラインナップにも入っています。