1930年代の美人女優。「踊る海賊」のステフィ・デューナ
戦前、新宿にあった映画館、昭和11年(1936年)の昭和館ニュースの表紙です。
美人のセニョリータです。ハンガリー生まれの女優、ステフィ・デューナです。この当時の映画館の会報というか、プログラムは次週公開の映画が表紙になっており、映画は「踊る海賊」、1936年製作の米国映画です。デューナはその主演女優です。
左ページにありますように、この日の上映映画は「武器なき戦ひ」と「襤褸と宝石」です。
で、このプログラムの至れりつくせりなところは、左ページの2段目に新宿発の終電・終バスの時刻表が付いていることです。親切です。
右ページの「親分はお人好し」、主演のジョージ・ラフトはビリー・ワイルダー監督の「お熱いのがお好き」でギャングのボスを演じていた人です。
さらにページを開きますと...
次週上映の「踊る海賊」の紹介です。ステフィ・デューナ、踊って歌える女優さんだったようです。こちらの写真は表紙の写真とちょっと印象が違います。「絶対的新様式天然色映画」です。何のことか、よくわかりませんが。
左下を見ますと、同時公開は「海軍少年航空兵」です。宣伝文句は「戦争か平和か! 極東の危機に起てる秋――重き使命を双翼に荷うて翔ける我等の航空兵、君国に捧げし熱血児、護れ非常時日本の空を!!」。日米開戦の5年前、大方の観客は歌うセニョリータに心を奪わる中、戦争の足音が静かに聞こえ始めていたようです。しかし、この宣伝文句、昨今の風潮を見ますと、ちょっと手を加えれば、通用しそうなところが怖いところです。
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上映中の作品紹介、「武器なき戦ひ」は1934年製作の英国映画、「襤褸と宝石」は1936年製作の米国映画です。
そして、再び...
次週公開作品。「ゴルゴタの丘」ですから、キリスト受難のお話。監督はフランスの名匠、ジュリアン・デュヴィヴィエです。
近日公開作のご紹介も...
洋画の映画館でも「海軍少年航空兵」を上映しなければならない時代になっていたのかもしれませんが、観客が見たかったのは、歌うセニョリータであったり、パリの女であったりしたのですね。
裏表紙は...
「浮雲」というと、成瀬巳喜男監督の映画を思い起こしますが、こちらは「浮き雲」で、Movie Walkerによりますと、「ドイツ文壇に特異の地位を示しているリヒャルト・シュナイダー・エデンコーベンが自作の小説『血と鋤』を自ら脚色且つ監督した第一回映画作品」なのだそうです*1。
「踊る海賊」というと、ジーン・ケリー、ジュディ・ガーランド主演の「踊る海賊」が有名ですが、あちらの原題は「The Pirate」。こちら1936年版「踊る海賊」の原題は邦題そのままの「Dancing Pirate」。1936年版、日本ではさすがにDVDは出ていないようですが、輸入ものはあるようです。
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