昭和13年6月の新宿「太陽座」のちらし。表紙はフランス映画「商船テナシチー」
昭和13年(1938年)6月16日発行の新宿「太陽座」のちらしです。昭和16年12月の日米開戦まで3年半という時期ですが、日本人は「街のフィルム・ライブラリー」で洋画を楽しんでいたようです。その表紙がこちら...
ジュリアン・デュヴィヴィエ監督のフランス映画の名作「商船テナシチー」(1934年製作)です。表紙を開くと、見開きで6月の上映予定作品が載っています。
シャルル・ボワイエ、ジーン・アーサー主演の「歴史は夜作られる」(1937年製作)は、タイトルにインパクトがあり、有名です。「目撃者」(1936年製作)は、「ロッキー」でコーチを演じていた名脇役バージェス・メレディスが主役を演じた若き日の作品のようです。「我は海の子」(1937年製作)は、「風と共に去りぬ」のヴィクター・フレミングが監督、米国の名優、スペンサー・トレイシーが出ています。この3本は米国映画で、さらにフランス映画の「商船テナシチー」というわけで、当時の洋画ファンにはたまらないラインナップだったでしょう。しかも週替わりの上映ですから。裏表紙には、映画雑誌の広告が入っています。
伝説の映画雑誌「映画之友」。そのキャッチフレーズに「洋画八〇パーセントの豪華映画雑誌」とあります。このチラシの前年の昭和12年には、盧溝橋事件があり、日中戦争が始まり、この前月の昭和13年5月には、国家総動員法が施行されたわけですが、新宿では市民が洋画を楽しみ、チラシの裏には、胸元が見えるようなドレスを着た外国人女優の写真が表紙になった雑誌の広告が出ていたいんですねえ。わずか数年のうちに世の中の雰囲気が変わってしまったんですね。
最後に、DVD化状況をアマゾンで調べてみますと、「商船テナシチー」はDVDになっていました。
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