アン・バンクロフト、パティ・デュークが主演、助演でアカデミー女優賞を独占した名作「奇跡の人」

 ちょっと年代物のプログラムです。

 色あせた表紙ですが、昭和38年(1963年)日本公開の「奇跡の人」(製作は1962年)です。ご存知、ヘレン・ケラーと、その師、サリバン先生の物語です。

 ページをめくりますと...

 左ページにありますように、サリバン先生役のアン・バンクロフトがアカデミーの主演女優賞、ヘレン・ケラー役のパティ・デューク助演女優賞を獲得したのをはじめ、ふたりの演技は、この年の賞を総なめしておりました。

 原題は「THE MIRACLE WORKER」。「奇跡の人」というと、三重苦の障害を克服したヘレン・ケラーを想起しがちですが、原題からみるように、これは、その障害克服への道を開く「奇跡」を起こした教師、アニー・サリバンの物語で、主演もアン・バンクロフトということになります。

 スタッフ・キャストの紹介です。

 監督は、アーサー・ペン。のちに「俺たちに明日はない」で、アメリカン・ニューシネマのパイオニアとなった監督です。で、左ページの「かいせつ」にあるように、この映画は、ブロードウェイで上演されたウィリアム・ギブスンの戯曲を映画化したもので、ブロードウェイでもアーサー・ペン演出、アン・バンクロフトパティ・デュークで演じられていました。オリジナル・キャスト+スタッフで映画もつくられたわけです。

 続きまして、ヒロイン2人の紹介。

 アン・バンクロフト、オスカー授賞で大喜びです。パティ・デュークは16歳で、この当時の助演女優賞最年少記録をつくりました。ちなみに、助演女優賞受賞者はその後、テイタム・オニールが「ペーパームーン」で10歳という最年少記録を更新します。なお、パティ・デュークは後年、「奇跡の人」のリメイクで、サリバン先生役も演じています。

 で、ヘレン・ケラーについてのページも...

スタッフの紹介ページ...

 この映画、アーサー・ペンにとって2本目の映画でした。

 左ページは、有名人コメント集ですが、映画評論家の双葉十三郎淀川長治とともに、先日亡くなった「やなせ・たかし」の名前も見えます。この頃から第一線にいたのですね。

 続いて、昔のプログラムは、こんなページもあったのだなあ、ということで...

 「鑑賞メモ」欄です。映画も教養のひとつ、お勉強的色彩もあったのかもしれません。それと、この当時のプログラム、広告が多いのも特徴です。映画人口が多かったので、媒体価値があったのかもしれません。

 裏表紙も広告なのですが、時代を感じせますので、おまけで...

 デパートの広告ですが、「東横」と「白木屋」です。白木屋は名門百貨店でしたが、昭和30年代に東急グループの傘下に入り、昭和40年代になると「日本橋白木屋」は東急百貨店日本橋店となりました。いまは、それもなくなり、その跡地にはコレド日本橋が建っています。昭和は遠くなりにけり、です。

 話は戻りまして、「奇跡の人」、名作ですから、当然、DVDになっています。

 ウィリアム・ギブスンの原作はこちらです。

奇跡の人

奇跡の人

 パティ・デュークがサリバン先生を演じたリメイク版はVHSの輸入版しかみつかりませんでした。