永島敏行、森下愛子が初々しかった寺山修司脚本、東陽一監督の「サード」

 数々の名作を送り出してきたATG(日本アート・シアター・ギルド)と幻燈社の提携作品です。

 1978年(昭和53年)に公開された「サード」。監督は東陽一。脚本は寺山修司です。主演は、この表紙で海を眺めている永島敏行。そしてヒロインが森下愛子でした。ふたりとも高校生の役でした。今で言う援助交際というか、当時の言葉で言えば女子高生売春の映画でもありました。既に1970年代も後半で豊かな時代でしたから、生活のために体を売るという悲しい話ではなく、手っ取り早くオカネを手に入れるためという社会の幕開けを告げるような内容でした。

 ATGのプログラムは表紙がモノクロにカラーのタイトルといった具合でアートなものでしたが、中身も会報に近いもので、内容も濃く、みっちりとしていました。まず目次です。

 1978年の公開予定が大きく出ていますが、その下が目次。「作品研究」、東監督へのインタビュー、そして寺山修司のオリジナル・シナリオも収録されているという映画研究者のために資料を提供しているようなコンテンツです。美術館のプログラムみたいです。

 この映画、東陽一監督の瑞々しい映像感覚に加え、当時、新人だった永島敏行さん、森下愛子さんが初々しく新鮮でした。というわけで、このプログラムの中から森下さんの写真を拾ってみると...

 よく見えないかもしれませんが、階段の上に佇んでいるのが森下さんです。続きまして...

 高校の仲良し4人組。奥が永島さんと森下さん。さらに2枚...

 もう映画を語る活字中心のプログラムなので、写真が本当に小さいです。少し、大きな写真というと...

 そして、今度はビハインド・ザ・シーンといいますか。撮影風景をひとつ...

 「サード」こと、野球部員の永島さんがダイヤモンドを疾走する場面、こうやって撮っていたわけです。

 そしてスタッフ・キャストのリスト...

 永島敏行さんのお母さん役が島倉千代子さん。トラブルを起こすヤクザ役が峰岸徹さん。そして日活ロマンポルノのスターだった片桐夕子さんも出ていました。

 最後に、裏表紙は近日公開作の宣伝です。

 増村保造監督の「曾根崎心中」。主演は宇崎竜童と、当時、熱狂的なファンを持っていた梶芽衣子です。「キル・ビル」を見ると、クエンティン・タランティーノ梶芽衣子のファンのように見えます。ルーシー・リューの役は梶芽衣子へのオマージュのようでしたから。

 というわけで、昭和50年代を代表するATGの青春映画の代表作でもありましたので、当然、DVDが出ています。

サード [DVD]

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 シナリオは寺山修司ですが、原作があって、それがこちら...
九月の町

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 軒上泊の『九月の町』です。