「日本映画復興・大映斗争支援映画祭」のチラシ。上映作は「羅生門」「新平家物語」

 戦後の日本映画黄金期、日本の映画会社は五社体制といわれた。東映東宝、松竹、日活に大映。しかし、テレビの隆盛とともに、映画は衰退、ついに大映は1971年(昭和46年)12月、東京地裁に自己破産を申請するに至る。しかし、会社は倒産しても、映像事業は続行することを求める社員たちが闘争(斗争)を開始、その資金カンパとして企画されたのが「日本映画復興・大映支援斗争支援映画祭」で、下が、そのチラシ。

 大映が生み出した日本映画史に残る傑作というと、黒澤明監督、三船敏郎主演の「羅生門」(1950年=昭和25年)と溝口健二監督、市川雷蔵主演の「新・平家物語」(1955年=昭和30年)だったのだな。大映にとっては、1950年代が黄金期だった。そして60年代は何とかしのいだが、70年代に息尽きた。黒澤明東宝の監督というイメージが強いのだが、大映でも映画をとっていたのだな。黒澤、溝口という日本を代表する両巨匠の作品に続き、大映斗争の記録「映画の灯は消さない」が続くという趣向。
 で、裏はこんな具合...

 山田洋次倍賞千恵子はじめ、映画人の方々の「支援のことば」が紹介されている。右上の「大映斗争の経過とうったえ」をみると、年表が昭和47年(1972年)までなので、この支援映画祭は、昭和47年6月に開かれたものらしい。日本映画史のヒトコマです。場所は読売ホール。当時は「有楽町そごう」7階ですが、いまはビックカメラの入ったビルで、このあたりも隔世の感があります。ちなみに、五社体制のうち、日活は、昭和46年(1971年)から「ロマンポルノ」路線をスタートする。大映の破綻を横目に、ソフトなH系に生き残りを賭けたわけです(この路線も最後は行き詰まりますが)。

 で、支援映画祭で上映された名作2作ですが、「羅生門」は日本映画の古典中の古典なので、当然、ブルーレイにもなっている。

羅生門 (1950年の映画) - Wikipedia => http://bit.ly/Hwry9o

羅生門 デジタル完全版 [Blu-ray]

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 溝口健二は玄人筋の評価は高いものの、黒澤明ほどポピュラーではないので、どうかと思ったら、DVDは出ていた。やはり名作としてリスペクトされています。

★新・平家物語 (映画) - Wikipedia => http://bit.ly/HwrMxh

新・平家物語 [DVD]

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 どちらも角川エンタテインメントから出ていた。大映から、こちらに権利が移ったのだな。