銀座・並木座の「リクエスト選集」1971年春。表紙は高倉健、藤純子主演「死んで貰います」

　昔々、レンタルビデオやDVDの前の時代、今のようにシネコンで昔の映画を上映したり、BSやCSで映画チャンネルが花盛りになる前の時代、街には旧作を中心にアートな映画、カルトな映画を上映する名画座と呼ばれる映画館があった。どのようなラインナップを組むかでセンスの良さが競われていたが（編集センスですね）、そのなかでも傑出した伝説の映画館のひとつだったのが銀座の並木通りにあった「銀座・並木座」。邦画、洋画を問わず、時代の精神を映し出す名画を上映していました。
　で、1971年（昭和46年）3月31日から5月4日までの「リクエスト選集」（観客のリクエストを集めたのでしょう）が、こちら。

　2つ折りのチラシの表紙部分で、ご存知、高倉健と、富司純子と名乗る前の藤純子。東映ヤクザ映画の「死んで貰います」。見開き部分は毎週、２本立てのラインナップ５週間分。

　もう山田洋次の松竹作品から東映ヤクザ映画、ロバート・アルトマンの映画、黒澤明、実相寺昭雄のATG作品まで、もうてんこ盛り。その組み合わせになかなか味があります。この並木座のチラシはレベルが高くて、最後のページにはナミキ・トオルさんのコラムが入っていました。

　このコラムを読むと、当時、どのような映画が注目されていたのかがわかります。
　
　この並木座のラインナップを自宅で再現しようとすると、こんな感じになります。

★第１週

喜劇・女は度胸 [DVD]

家族 [DVD]

★第２週

昭和残侠伝 死んで貰います [DVD]

明治侠客伝 三代目襲名 [DVD]

★第３週

ひとりぼっちの青春 [DVD]

マッシュ [Blu-ray]

★第４週

用心棒 [Blu-ray]

「エロ事師たち」より 人類学入門 [DVD]

★第５週

赤頭巾ちゃん気をつけて [DVD]

無常 [DVD]

　時代の空気を感じます。で、1971年の並木座の上映作、すべてDVDで出ていて、ブルーレイになっているものもありました。並木座と、そこに集まった観客の方々の目は確かだったようです。