銀座・並木座の「リクエスト作品選」1972年夏の始まり。表紙は三船敏郎、志村喬主演、黒澤明監督の「酔いどれ天使」

　銀座・並木座のリクエスト作品特集。1972年（昭和47年）6月28日〜8月1日上映分のチラシ。表紙は、こちら。

　左が三船敏郎で、右が志村喬。黒澤明監督の「酔いどれ天使」ですね。1948年（昭和23年）公開の戦後日本映画の古典です。で、この時のラインナップは、こんな具合。

　松竹、東宝、東映、ATG、日活の古典が並びます。映画監督で言うと、黒澤明、マキノ雅弘、篠田正浩、鈴木清順、藤田敏八、山田洋次、加藤泰と、大衆派からアート派まで幅広く、黒澤明と山田洋次を組み合わせてみたり、楽しんで編成しているようです。で、裏表紙のナミキ・トオルさんの名物コラムはこちら。

　日本赤軍によるテルアビブ空港乱射事件が同じ年1972年5月で、その余韻も生々しく、そこから筆が起こされています。映画で言うと、「子連れ狼」「忍ぶ川」「ゴッドファーザー」が話題だったようです。

　いま、ご家庭で、このプログラムを見るとすると、こんな具合です。

★第１週

第5作 男はつらいよ 望郷篇 HDリマスター [DVD]

どですかでん<普及版> [DVD]

★第２週

緋牡丹博徒 お竜参上 [DVD]

日本侠客伝 [DVD]

★第３週

心中天網島 [DVD]

初恋・地獄篇 [DVD]

★第４週

日活100周年邦画クラシック GREAT20 八月の濡れた砂 ＨＤリマスター版 [DVD]

けんかえれじい [DVD]

★第５週

酔いどれ天使 [Blu-ray]

用心棒 [Blu-ray]

　黒澤明はアートとしてもエンターテインメントとしても、いつの時代でも最高だったのですね。時代を反映しているのは、東映ヤクザ映画と藤田敏八、鈴木清順の日活映画。このあたりは全共闘系をはじめ、当時の学生の一般教養だったようです。アート系の若者には、ATGの作品が支持されていたわけですが、「初恋地獄編」などは中古でないと手に入りにくいようです。