ギュンター・グラス原作、フォルカー・シュレンドルフ監督の「ブリキの太鼓」
1年3カ月ぶりの更新です。家の中から発掘されたチラシやプログラムはまだ大量にあるのですが、飽きやすいのと、ちょっと忙しかったのと、スキャンの面倒さなどで、ついブログを放ったらかしにしてしまいました。再び、デジタル保存意欲が湧いてきたので、昭和の映画のもろもろを。
というわけで、再開第1号はこちら...
ノーベル文学賞も受賞したドイツを代表する小説家であるギュンター・グラス原作、フォルカー・シュレンドルフ監督の「ブリキの太鼓」です。西ドイツ(まだドイツ統一前)、フランスの合作で1979年製作。1979年のカンヌ映画祭グランプリ、1980年度アカデミー外国映画賞を受賞し、1981年(昭和56年)に日本で公開されました。
右ページの主人公、3歳で成長することをやめたオスカルを演じたダーヴィット・ベネントの存在感は圧倒的でした。母、アグネスを演じたアンゲラ・ヴィンクラーも魅力的な女優さんでした。スタッフで言うと、原作者のギュンター・グラスはシナリオ(台詞)にも参加しています。
監督の紹介ページ...
シュレンドルフは戦後ドイツを代表する監督です。フィルモグラフィーでいうと、1975年の「カタリーナ・ブルームの失われた名誉」も話題作でした。この映画は、当時夫人だったマルガレータ・フォン・トロッタと共同監督の作品で、トロッタの映画で最近、日本でも話題になったのは「ハンナ・アーレント」です。
この映画、当時ドイツ芸術をリードしていた映画作家と文学者による注目のコラボレーションでもあり、シュレンドルフ、グラス双方が原作と脚色について語っているページもあります。
まさに両雄といった風情です。
最後のページには、ギュンター・グラスがシュレンドルフに贈ったオスカルのデッサンがあります。
似ていますね。この映画、奥付にもありますように、フランス映画社の配給でした。欧州映画の傑作、名作、話題作をいくつも日本に持ってきてくれた会社でした。懐かしい名前なので、今どうなっているかと思って、ウェブで調べてみたら、昨年、倒産していました*1。
さて、この映画、すでにドイツ映画の古典ですから、当然、ブルーレイも出ています。
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原作も文庫本になっています。
ギュンター・グラス『ブリキの太鼓』全3巻セット (集英社文庫)
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この映画の舞台は第一次大戦と第二次大戦の間、束の間の自由都市であったダンツィヒ。ポーランドと東プロシアに挟まれた都市だったのですが、グラスの物語に背景にある歴史の複雑さを、この本を読むことで知ることができました。
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東プロシアはドイツの敗北によりポーランド、ロシア(ソ連)に併合されて消滅しました。「消えた国」の著者である池内紀氏はギュンター・グラスを研究するドイツ文学者。そんなわけで、池内訳の「ブリキの太鼓」もあります。
- 作者: ギュンター・グラス,池内紀
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最後におまけで、シュレンドルフの夫人だったトロッタ監督の「ハンナ・アーレント」はこちらです。
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*1:2014/11/19 帝国データバンク大型倒産速報「海外映画『BOWシリーズ』など配給 株式会社フランス映画社 破産手続き開始決定受ける 負債3800万円 => http://www.tdb.co.jp/tosan/syosai/3981.html